サガン鳥栖、5年間の歴代フォーメーション。F・トーレスら大型補強敢行も…2季連続残留争いというジレンマ

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攻守ともに安定感を欠き…(2015年)

サガン鳥栖、2015シーズンの基本フォーメーション(黄色は新加入選手)

【シーズン成績】

明治安田生命J1リーグ:11位(1st:11位/2nd:12位)

ヤマザキナビスコカップ:グループリーグ敗退

天皇杯:ベスト8

2014シーズンにリーグ戦年間5位につけるなど躍進を果たしたサガン鳥栖はこの年、新監督に森下仁志氏を招聘している。オフ期間にはDF安田理大、FW播戸竜二、DF金井貢史らがチームを去る中、MF谷口博之、MF菅沼実、DF吉田豊らを完全移籍でチームに加えた。また、東山高校からMF鎌田大地が加入したのもこの年のことであった。

ユン・ジョンファン監督時代には「守備重視+ショートカウンター」の戦術を基本としていた鳥栖だが、森下監督の下では「パスワークから崩し切る攻撃」へとスタイルを変更した。その戦術はすぐに効果を発揮し、リーグ戦開幕6試合で4勝2敗という成績を収めている。スタートは決して悪くなかった。

しかし、スケジュールが進むにつれチームは崩れていく。第7節から第11節まで5戦連続未勝利に陥るなど一気に順位を落とすと、ステージ終盤戦には1-6(第14節浦和レッズ戦)、0-5(第15節ベガルタ仙台戦)の大敗を喫するなど守備が完全崩壊。5試合連続未勝利のまま、11位で1stステージを終えることになった。

巻き返しを狙った2ndステージでも鳥栖は大苦戦。エースのFW豊田陽平をはじめ主力にけが人が相次ぎ、浮上のキッカケを掴めず。2ndステージ第9節のヴィッセル神戸戦で1-7の大敗を喫するなど、一時は降格圏ギリギリの年間14位にまで順位を下げることもあった。

この状況に危機感を覚えた森下監督は2ndステージ途中より、基本システムをそれまでの「4-2-3-1」から「3-4-2-1」へと変更。より守備の安定性を求めた。そして、結果的にこのシステムチェンジが功を奏し、終盤は簡単に負けない試合も増えた。ただ、順位が大幅に回復することはなく、年間11位でシーズンを終えている。

引き分けの数は全34試合で「13」にも上っているなど、勝ち切れない試合が多かった。得点数もリーグ15位となる「37」、失点数も「54」にまで積み上がっているなど、攻守両面でストロングポイントが少なかったと言える。豊田ら主力に怪我人が相次いだ影響は少なからずあるとはいえ、厳しいシーズンになったと言えるだろう。

また、リーグ戦におけるホームゲームでは1stステージ第5節のモンテディオ山形戦以降、実に7ヶ月間白星を挙げることができなかった。サポーターにとっても不満の残るシーズンになったと言えるだろう。

▽GK 林彰洋

▽DF

菊地直哉

丹羽竜平

キム・ミンヒョク

▽MF

藤田直之

高橋義希

吉田豊

キム・ミヌ

水沼宏太

池田圭

▽FW 豊田陽平

新監督就任(2016年)

サガン鳥栖、2016シーズンの基本フォーメーション(黄色は新加入選手)

明治安田生命J1リーグ:11位(1st:15位/2nd:8位)

YBCルヴァンカップ:グループリーグ敗退

天皇杯:4回戦敗退

前年のリーグ戦で11位と不完全燃焼に終わったサガン鳥栖は、森下仁志監督との契約を解除。新監督候補にはハンブルガーSVやヴォルフスブルクで指揮を執ったフェリックス・マガトの名も挙がっていたが、結果的に招聘は実現せず、イタリア人のマッシモ・フィッカデンティが新指揮官に就任することになった。

MF水沼宏太やMF藤田直之ら主力がチームを去る中迎えた1stステージは大苦戦を強いられた。フィッカデンティ監督はチームの基本システムを中盤をダイアモンド型とした「4-4-2」へ変更し、守備から連動性のある攻撃に繋げるポゼッション重視の戦い方を目指したのだが、得点数が伸び悩み勝ち切れない試合が増加。失点数は大幅に減ったのだが、結局新スタイルの浸透が進まず、1stステージを降格圏ギリギリとなる15位で終えることになった。

ただ、2ndステージはフィッカデンティ監督の戦術が浸透し、6試合連続無敗という好スタートを切っている。1stステージではボールを繋ぐことを意識しすぎて停滞に陥ることも少なくなかったが、2ndステージではFW豊田陽平の頭を狙うシンプルな攻めも見られた。豊田の強さ、鳥栖本来のハードワークにフィッカデンティ監督の植え付けた守備意識。すべてが噛み合い始めていた。

結果的に2ndステージは8位フィニッシュ。年間では11位につけ、5年連続のJ1残留を果たすことになった。得点数は全34試合で「36」とまだ物足りなさは残ったが、失点数は前年より17減少した「37」。なかなか勝てない時期もありながら1年通してスタイルを貫き、残留を掴んだのはチームとして大きな手応えとなったはずだ。

ただ、シーズン序盤は勿体なかった。そもそも監督人事が遅れ、フィッカデンティ監督が理想とするサッカーにフィットできる選手を獲得できたのかは、開幕当初からの疑問だった。実際シーズン途中にはDF丹羽竜平やDF菊地直哉ら9人もの選手を放出する事態となり、竹原稔社長とフィッカデンティ監督が説明のために記者会見も開いている。監督人事等がもう少しスムーズに行えていれば、結果は少し違ったのかもしれない。

谷口博之

藤田優人

福田晃斗

鎌田大地

▽FW

早坂良太

豊田陽平

積極補強を敢行(2017年)

サガン鳥栖、2017シーズンの基本フォーメーション(黄色は新加入選手)

明治安田生命J1リーグ:8位(13勝8分13敗)

天皇杯:3回戦敗退

マッシモ・フィッカデンティ監督体制の2年目。オフ期間にはGK林彰洋、MF早坂良太、MFキム・ミヌら主力選手がチームを離れたが、クラブは新たにMF小川佳純、FW小野裕二、GK権田修一、DF小林祐三ら経験豊富な人材を確保。シーズン開幕直後にはセリエAで活躍していたコロンビア代表FWのビクトル・イバルボも獲得している。文字通りの「積極補強」を行い、上位進出を目指した。

ところが、鳥栖は開幕5試合を1勝2分2敗の成績で終えるなどスタートダッシュに失敗。その後も勝ち負けを繰り返すなど安定感を欠いたチームは、なかなか勝ち点を伸ばすことができず。前半戦を10位で終えるなど、物足りなさが残った。

巻き返しを狙うべく、鳥栖は夏にDFチョン・スンヒョン、MF河田広貴などを獲得。攻撃の中心となっていたMF鎌田大地がドイツ・フランクフルトへ旅立ち、新加入の小川もわずか半年で期限付き移籍となったが、契約の問題で一時的にチームを離れていたイバルボが復帰。攻守両面での立て直しを目指した。

しかし、後半戦も波に乗ることはできなかった。連勝は第19節のサンフレッチェ広島戦、第20節の清水エスパルス戦の1回のみに留まるなど、好不調の波が激しく、中位を彷徨い続けるばかり。シーズン終盤には様々なシステムも試したが、どれもフィットするものはなく、当初の目標とは遠い8位でシーズンを終えることになった。

レンタルでやって来たMF原川力はチーム最多の7得点をマークするなど中盤で代えの効かない選手となった。しかし、小川は半年でレンタルに出され、小野は2得点、イバルボとFW趙東建は5得点、チョン・スンヒョンもDFラインの一角に収まったがプラスに働いたとは言えず、この年加入した選手はことごとく不完全燃焼となってしまった。ユースから昇格したFW田川亨介の可能性は感じたものの、全体的には「外れ」が多かった印象だ。

失点数は前年の「37」から「44」に増加。DFキム・ミンヒョクの相方がなかなか定まらず、安定感を欠いたのが大きな原因となった。セットプレーからの失点も多く、このあたりは大きな課題として残ったと言えるだろう。

上位進出を目指しての積極補強であったが、結果的には8位フィニッシュ。前年と比べ成績は上がっているが、あまり大きな評価はできないシーズンとなってしまった。

▽GK 権田修一

チョン・スンヒョン

小林祐三

原川力

小野裕二

ビクトル・イバルボ

F・トーレス加入もチームは低迷(2018年)

サガン鳥栖、2018シーズンの基本フォーメーション(黄色は新加入選手)

明治安田生命J1リーグ:14位(10勝11分13敗)

前年の8位という成績からのジャンプアップを目指したマッシモ・フィッカデンティ体制3年目だが、クラブにとって厳しいシーズンと化してしまった。

開幕から5試合を2勝2分1敗という成績で切り抜けたサガン鳥栖であったが、第6節のセレッソ大阪戦を1-2で落としたのを皮切りに、そこから泥沼の7連敗。順位は自動降格圏となる17位にまで沈むなど、序盤から残留争いに巻き込まれてしまった。以降も勝ち点を取り損ね続けたチームは、前半戦を17位のまま終えることになっている。

夏にはスペイン代表として数多くのタイトルを獲得し、アトレティコ・マドリードやリバプールでも活躍したFWフェルナンド・トーレス、FW金崎夢生、DFジョアン・オマリ、さらに蔚山現代へ期限付き移籍していたFW豊田陽平が復帰するなど派手な補強も行った。しかし、それでもチームの調子は上向かず、第29節終了時点で17位に低迷。フィッカデンティ監督は解任となった。

残り5試合で「残留」というミッションを託されたのはU-18監督兼トップチームコーチの金明輝であった。すると鳥栖は第30節、第31節と連勝を記録。そして、残り3試合を1勝2分で切り抜けた鳥栖は、順位を14位にまで回復させ見事残留を掴み取った。監督交代がポジティブに働いた格好だ。

GK権田修一を中心とした守備陣はこの年に優勝を果たした川崎フロンターレに次いで2位タイに少ない失点数を誇った。彼らの奮闘は残留を掴む上で欠かせないものになっていたと言えるだろう。一方でF・トーレス、金崎らを加えた攻撃陣は全18チーム中唯一となる20点台に終わるなど沈黙。もちろん個人の問題だけではない。チーム全体として攻めの形が構築できなかったのが、最大の痛手と言えた。

14位という成績は、2012年にJ1参戦以降最低となる順位。監督交代も行うなど、非常に厳しいシーズンとなった。

高橋祐治

ジョアン・オマリ

三丸拡

高橋秀人

フェルナンド・トーレス

趙東建

またも残留争い(2019年)

サガン鳥栖、2019シーズンの基本フォーメーション(黄色は新加入選手)

明治安田生命J1リーグ:15位(10勝6分18敗)

現役時代にバルセロナやアトレティコ・マドリードに在籍したルイス・カレーラス氏が新監督に就任。オフ期間にはMFイサック・クエンカ、DFニノ・ガロヴィッチ、DF原輝綺などを補強し、クラブ悲願のタイトル獲得を目指して2019シーズンへの舵を切った。

だが、現実はそう甘くなかった。サガン鳥栖はリーグ開幕3試合で全敗を喫すると、第6節から第10節までに5連敗も記録。開幕10試合で挙げた得点数はわずか「1」に留まるなど、いきなり単独最下位に沈んでしまった。結局、カレーラス監督はリーグ戦9試合を指揮(第10節は体調不良を理由に指揮をしていない)したのみで解任。メンバー固定も定まらず、方向性が見出せないままクラブを去ることになった。

後任に就いたのは前年にチームを残留へ導いた金明輝氏。すると鳥栖は第11節のガンバ大阪戦から3連勝を記録するなど順位を14位にまで回復させている。再び、監督交代がポジティブな方向に傾いた。

しかし、なおも苦戦は続いた。鳥栖は3連勝の後に3連敗を喫するなど再び下位に沈むと、以降もなかなか継続して勝ち点を奪うことができず、前半戦終了時点で16位に低迷。8月に行われたFWフェルナンド・トーレスの引退試合ではヴィッセル神戸に1-6と大敗を喫するなど、歯車は完全に狂っていた。

夏場にFW金森健志、DFパク・ジョンス、FWチアゴ・アウベス、DF金井貢史などを加えていた鳥栖であったが、終盤戦も浮上のキッカケは掴めず。最後まで残留争いの渦から抜け出すことは叶わなかった。そして、降格の可能性を残していた最終節でも清水エスパルスに敗れた。J2降格を覚悟した人も多かったはずだ。

しかし、最終節で同じく残留を争っていた湘南ベルマーレが松本山雅FCと引き分けたため、得失点差で上回った鳥栖が15位で残留を果たすことに。自力で生き残ったわけではないが、一息つける結果となった。

ただ、2季連続で残留争いを強いられたのはやはりいただけない結果だ。能力のある選手は揃っていただけに、なおさらである。シーズン全体で主導権を握ることができた試合もわずかで、内容が良いゲームでもそれを結果に結びつけることができなかったのも非常に痛かったと言える。

ビッグネーム重視の選手編成でタイトル獲得を目指していた近年の鳥栖だが、まさかの2季連続での残留争い。クラブの財政事情的にも厳しいのは事実だろう。この暗いトンネルから抜け出すことは可能なのか。

▽GK 高丘陽平

金井貢史

松岡大起

イサック・クエンカ

金崎夢生

金森健志

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