“周りを見ることの重要性”
久保建英は練習から周りを常に確認する意識を持っていることがわかる【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】
練習では、久保はどんなことをやっているか。コパ・アメリカの練習中の写真から彼がどんなことをやっているかを写真で見る。
2つのゴールの距離を短くして8対8くらいでやるミニゲーム。
例えば、誰かのシュートをGKがキャッチしたとしよう。キャッチした瞬間、他の選手は、ボールを見ている。しかし、久保はその瞬間、既に周りを見ていた。
他の選手は全員ボールの行方を見ているのに、久保だけが異なる方向を見ている。練習中から周りを常に確認する意識付けが出来ているということ。
周りを観察する見方も、通常はゆっくりと見まわす。彼もそれはやっているが、さらにもう1回、一瞬だけ周りを見る。時間にして0.2か0.3秒という世界。これは、おそらく一緒に練習している他の代表選手もこの瞬間に久保がどのくらい周りを見ているか知らないだろう。
なぜなら、その時、彼らだって、久保が周りを見ている瞬間を見ていないから。
実戦向けのシュート練習法
久保建英はシュート練習でも実戦向けに工夫をしていた【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】
試合前のウォーミングアップのシュート練習では、コンパクトに蹴る+立ち足と顔が向いている方向とは別の方向に強く、速く蹴る練習をしている。
写真1枚目では、立ち足は、GKの右側(久保から見て左側)を狙っているが、ボールを当てる足の位置を変えて実際には、GKの左側(久保から見て右側)に蹴っている。
同2枚目では、蹴り方は同じだが、久保は立ち足と同じ、GKの右側(久保から見て左側)を見て蹴っている。実際にボールが飛んでいるのは、GKの左側(久保から見て右側)である。こんなところでも、実戦向けに工夫をしていた。
ボールを直接見ない
久保建英は間接視野でコントロールしながら実際の視線は味方や敵に向いている【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】
相手と対峙しながら、パスのタイミングをうかがう。こういう状況でも、久保はボールを間接視野でコントロールしながら、実際の視線は味方や敵がどこに何人いて、パスをいつ、どこに出せばよいかを判断している。
サイドキックで10メートル、20メートルで出せるパスであれば、ボールを直接見ないで間接視野で蹴っても正確に処理できるはず。それより長い距離のロングパスの時にやっとボールを見て蹴っている。
どんなに速いボールが来ても、久保はそのすべてをダイレクトで処理する【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】
サイドキックで蹴れるような近い距離へのパス。そんな時は、パスを出す瞬間、つまりボールを蹴る瞬間も周りを見ている。蹴るボールは間接視野で見ているのだ。
トラップするときもしかり。目線はボールだが、顔が正面向いている。何でもないシーンでも彼は、試合の実戦を想定して練習している。
アマチュアでも、プロでもやる「鳥かご」(ロンド)ボール回し。もちろん、日本代表の練習でもやっている。バルセロナのカンテラ育ちの久保は、これにも1日の長がある。他の日本代表選手と何が違うのか。
どんなに速いシュートのようなボールが来ても、全てダイレクトでパスに出来る。トラップではない、パスなのだ。ダイレクトでの!
そんなに速い矢のようなボールが来ても、ボールを受ける前にどこにパスを出せば良いか、考える習慣ができているという事だ。
(撮影・文:山田一仁)