暮らしのマネー
2019年2月23日 11:00
喪主の仕事には様々な難題が待ち受けている(イメージ)
親が亡くなった後、子供に課されるのが、「葬儀」を取り仕切る役割だ。「喪主」の仕事にも、少なからぬ難題が待ち受けている。故人の配偶者が高齢だったり、すでに亡くなっている場合、遺族の代表となる「喪主」は長男や故人と同居していた子供が務めることが多い。手続きの瑕疵や不義理があった場合、その責めを負う立場となる。
2年前に父親を亡くした70代男性が振り返る。
「誰を呼んだらいいのか全くわからず家族葬にしたところ、数か月後に父の友人だという人から続々と『お別れがしたかった』という連絡があり、ずいぶん責められました……」
葬儀・お墓コンサルタントの吉川美津子氏は、「【1】親の生前に誰を呼ぶか確認」することが大切だと説明する。
「最重要ポイントといってもいい。昔なら故人の年賀状などから交友関係を把握できましたが、そうした慣行も廃れてきたので、生前の確認がより大切です。確認できていれば、葬儀会場の大きさ、通夜振る舞いや香典返しの数などで悩まされることもなくなる」
簡単に“家族葬で済ませよう”と決めてしまうのではなく、呼ぶべき人を把握して規模を決めるのだ。
親の死期が迫ってきたと感じたら「【2】葬儀社選び」に入る。昨年、母親の葬儀で喪主を務めた60代男性はこう話す。
「まだ生きているのに葬儀社選びなんて縁起でもないと思って、亡くなるまで何もしなかったのが失敗でした。病院に紹介された葬儀社の提携する式場に遺体を搬送・安置してもらったら、その後の葬儀日程も内容も同じ業者主導で決まっていってしまった。後日、近所の知人に別の業者ならもっと費用が安いと聞いて、ため息が出ました」
前出の吉川氏は、「少しでも余裕のあるうちに、地域の事情に精通した葬儀社を3~4社リストアップしておくことです。最終的には複数社から見積もりを取って決めるのがいいでしょう」とアドバイスする。
また、医師に長くないと告げられたら「【3】遠方の親戚に連絡」をする。
「危篤の知らせはする側も受ける側も動揺しがちです。本人の様子、入院中の病院の場所、連絡先など、必要事項を事前にメモしておき、漏れのないように伝えましょう」(同前)
親が亡くなったら速やかに、「【4】葬儀社に連絡」する。「【5】安置場所の選定」「【6】遺影選び」「【7】香典返し(会葬御礼品)・会葬礼状の決定」「【8】通夜振る舞い・精進落としの人数の決定」など、喪主が責任を負う“決断”が続く。
「信頼できる葬儀社を選び、葬儀に呼ぶ人数が把握できていれば、それほど難しくはありません。細かいことは業者に任せて、故人としっかりお別れできます。逆にこの段階で“誰を呼ぶか”“この葬儀社でいいのか”という話になると、手間が増える」(前出・吉川氏)
また、「【9】菩提寺への連絡」も忘れずに行なう。遅れると住職の日程調整でトラブルが起きやすい。
通夜・告別式では「【10】喪主の挨拶」がある。60代男性は、「父の葬儀で出棺前に会葬者にご挨拶しましたが、とにかく落ち着いて考える時間がなくて、何をしゃべったか記憶にない」と振り返る。
遺族代表に相応しい挨拶の内容は「誰が来るか」で変わってくる。
「1~2分程度でまとめるようにするのがいいです。参列者が家族だけでなく、友人・知人などもいる場合は、病院での最期の様子などを報告できたほうがいいでしょう」(前出・吉川氏)
そうして故人を荼毘に付したら、1週間以内を目安に「【11】葬儀費用を支払う」。
「亡くなった後は故人の口座は凍結されてしまい、工面するのに苦労した遺族も多いかもしれませんが、法改正によりこの7月からある程度の額は動かせるようになる。生命保険で払うと言えば待ってくれる葬儀社も多い。相談してみることをお勧めします」(同前)
僧侶に「【12】お布施を渡す」ことも必要だ。「お気持ちで」と金額を明示されないのが悩ましい。
「住職に直接聞き、お布施15万円と車代3万円を包みました。私の友人は『お気持ち』といわれて3万円にしたところ、後日住職から足りない分の請求書が届いたと言っていました」(60代の元会社役員)
トラブルを避けるため、「地域の相場を把握している葬儀社に額の相談をするのも手」(吉川氏)だという。
葬儀を手伝ってくれた会社の同僚や近所の人がいる場合、葬儀後1週間以内に「【13】挨拶回り・礼状の送付」をするのが礼儀だ。
葬儀の簡素化・簡略化の時流があるが、喪主の責任が軽くなったわけではない。
※週刊ポスト2019年3月1日号