中国が高齢化に対応するための中長期計画を発表―中国メディア

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中国共産党中央委員会、国務院がこのほど発表した「国が人口の高齢化に積極的に対応するための中・長期計画」は、近い時期として2022年、中期として2035年、さらに長期として2050年までをめどにした積極的に人口の高齢化に対応するための戦略的、総合的、指導的文書で、5つの方面から人口の高齢化に対応するための具体的な業務、任務を制定している。

任務1 人口高齢化に対応するため社会の財産を今しっかりと貯める

「計画」は、総量の拡大、構造の最適化、効率の向上を通して、経済発展を人口の高齢化にうまくなじませなければならないとしている。そして、国民收入分配体系を整備し、政府、企業、住民の間の分配構造を最適化することで、高齢者支援のための資金を安定して増加させ、公平で持続可能な社会保障制度を健全化させ、国民全体の福祉水準を向上させるとしている。

【解説】中国国家発展改革委員会社会発展司の人口計画専門家・陸傑華(ルー・ジエホア)氏は、「中国は現在、人口ボーナス期にあり、今後の高齢化に余裕を持って対応できるよう、財産を拡大させるそのチャンスを逃してはならない」と、パイをできるだけ大きくしておくことのほか、「国民收入分配体系において、社会の公平性が、高齢者と全ての人に及ぶというのが、社会主義の重要なメリットだ」と、パイをどのように配分するかも重要であると指摘する。

任務2 人口高齢化の背後にある労働力の供給問題を改善

「計画」は、新生児の質、新規労働力の質を向上させるほか、高齢になっても何かを学ぶことができる生涯学習体系を構築し、中国のヒューマンリソースの全体の質を向上させるとしている。ヒューマンリソースの開発・利用を推進し、さらに質が高く、十分な量の雇用を実現し、人口の高齢化に積極的に対応する十分の量でハイクオリティーのヒューマンリソースを確保するとしている。

【解説】陸氏によると、世界の健康な高齢化の新理念によると、高齢化の対応というのは、ライフサイクル全体、全てのプロセス、全ての人々に関係がある。「60歳になってから初めて高齢問題について気付くものではない。健康問題は年齢と共に積み重なってくるものだ」。その他、「生涯学習」について、陸氏は、「世界保健機関(WHO)が提唱する健康な高齢化の中でも、生涯学習の構築と維持は重要事項となっている」と説明する。

任務が言及している「労働力の質向上」について、陸氏は、「中国の経済発展スタイルの転換と密接な関係がある。中国が今後、経済の質を向上させるためには、ハイレベル人材、質の高い雇用機会が必ず必要となる。発展途上国の多くは、高齢化に対応する際、この分野を考慮に入れておらず、中国が長い目で見ている分野でもある」と説明する。

任務3 ハイクオリティーのシルバーサービスと商品供給体系を構築

「計画」は、「健康中国(ヘルシー・チャイナ)」の建設を積極的に進め、健康教育、予防・保健、病気の診察・治療、リハビリケア、長期介護、ホスピスケア、連続的シルバー健康サービス体系を構築、整備するとしている。また、在宅を基礎にして、コミュニティーを拠り所とし、機関を十分に発展させ、医療とケアをうまく結合させたマルチレベルのシルバーサービス体系を構築し、さまざまなルート、分野で高齢者を考慮に入れた商品、サービスの供給を拡大させ、商品やサービスの質を向上させるとしている。

【解説】陸氏は、中国のシルバー商品、サービスは現在、単一的で、ハイクオリティーのレベルにはまだ達していないと指摘する。リハビリ・介護、ホスピスケア、予防・保健、病気の診察・治療などはどれも基本的なものであるものの、まだ十分のレベルに達していない。今後は、国家の発展水準にマッチした商品やサービスが必要だ。

任務4 人口の高齢化に対応するためテクノロジー・イノベーション能力を強化

「計画」は、革新駆動型発展戦略を一歩踏み込んで実施し、技術革新を人口の高齢化に積極的に対応するための一番の原動力、戦略的下支えとし、国民経済産業体系のスマート化水準を全面的に向上させるとしている。また、シルバーサービスのテクノロジー化、情報化水準を向上させ、テクノロジーによる高齢者の健康サポート、高齢者サポート技術の研究開発、応用を強化するとしている。

【解説】陸氏は、「テクノロジーを、高齢者が装着するデバイスに活用することは非常に大切だ。シルバー市場では、ハイクオリティーのテクノロジー・イノベーション商品の需要が非常に大きい。この任務は、主にテクノロジー・イノベーション企業にあてはまる。現在、中国で高齢化産業に参入しているテクノロジー・イノベーション企業は少ない。それら企業はシルバーサービスの分野にもっと貢献するべきだ」と指摘する。

任務5 高齢者をケアし、大切にし、敬意を示す社会環境づくり

「計画」は、人口の高齢化に対応するための法治環境を強化し、高齢者の合法的な権益を保護しなければならないとしている。そして、家庭によるサポート体系を構築し、高齢者にやさしい社会づくりをし、高齢者、家庭、社会、政府が共にそのように努力する雰囲気を作り上げなければならないとしている。

【解説】陸氏は、「社会の高齢化が進むにつれて、法律・法規、ガバナンスなどを細分化し、高齢化の流れに合わせ、高齢化に対応した考え方、理念を持たなければならない。例えば、多くの都市計画において、信号の設置の仕方は高齢者のことが考慮に入れられていない。そのため、多くの高齢者が道を渡るのに四苦八苦する。また、歩道橋があってもエレベーターがない限り高齢者はそれを登ることができない。つまり、法律、規範、基準を変えなければならないということだ。公共政策は高齢者の権益を考慮に入れるべきで、高齢者差別は存在してはならない」との見方を示す。

【分析】「計画」は未来志向の制度を制定

陸氏は、「過去の関連計画は、5年が期限だったが、今回の計画は、高齢化対応の視野を十数年先に置いている。このような計画は今回が初めてだ。2000年に中国は高齢型社会に入った。しかし、高齢化の影響というのは、5年、10年で現れるものではない。そのため、長期的な視野を持った取り組みが必要だ」と指摘する。

近い時期、中期、長期の3段階は、中国の新時代のいくつかの段階の奮闘目標ともマッチしている。今年10月に開催された中国共産党第19期中央委委員会第4回全体会議(四中全会)では、国家ガバナンス体系とガバナンス能力の現代化が取り上げられ、その中でも高齢化への積極的な対応は重要なポイントだ。ガバナンス制度の制定の上で、国家の安全、経済発展、社会の発展、地政学などはいずれも、大きな戦略的意義がある。

3つの段階において直面し、解決すべき問題も異なる。来年、中国は小康社会(ややゆとりのある社会)に突入し、経済的準備が十分に整っていないうちに、高齢化が進むという状況に対応しなければならなくなるだろう。しかし、高齢化は速度を上げて進んでいく。そのため、2020‐2035年の間に「準備はゆっくり、高齢化は急速」という状況を変えることに力を注ぎ、現代化が実現するであろう2035‐2050年には、「富而過老」という状況に注目しなければならない。

「昨年、高齢者人口は2億4900万人で、今年は2億5000万人を必ず超える。2050年には中国は世界で最も人口が多い国ではなくなっているかもしれないが、高齢者人口は必ず世界で一番多くなる」と陸氏。

そして、「人口の高齢化自体は問題ではなく、それは世界が逆転されることができない流れだ。問題なのはこれまでの若者型社会における制度制定は高齢者型社会という新形態にはマッチしなくなっている点だ。そのため、『計画』の中で、未来志向の制度制定というのが、とても重要な内容だ」と強調する。

その他、「中国は、高齢化への対応において優位性がある。政府は力を集中させて大きな事をして、高齢化が原因で起こるいろんな問題を解決し、労働力を改善して、効果的に供給し、出生率を向上させることができる。この『計画』には今後、世界中が注目するようになるだろう。中国の計画を、発展途上国だけでなく、先進国にもシェアし、高齢化社会における国家ガバナンスの新たなアイデア、対策を見いだしてもらいたい」とする。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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