服装は明らかに違うが威厳は保てるのか

秋猫夏まつり

服装は明らかに違うが威厳は保てるのか

待望の打ち上げは近くの居酒屋で行われた。出席者は、ライブに出演したメンバーと、そのファンの子総勢30人。

とりあえずレイ君、ケン君を両脇にしたがえ、酌をさせる。

『テツジンさん、どうもお疲れさまでしたー』

この様子を見て、ファンは気づくだろう。この場での権力者が誰なのかを。そして誰に抱かれることが誇りとなるのかを。

『テツジンさん、ありがとうございました』

大物ぶりを吹き込まれたバンドの面々が、次々とビールを注ぎにやってくる。

『お、ご苦労さん』

『いやー、やっぱ存在感ありましたよ』

『そう?』

『これからもご指導お願いします』

『うん、そうだね。君たちいい音出してたよ、うん』

『ありがとうございます』

ここまで低姿勢になられると、いい気分を通り越して申し訳なくもなってくる。ただのオッサンですよ、ホントは。

$僕が“バンドマン”を続けている理由。~バンド人生を本音で振り返る~

別テーブルでは、場をわきまえたファンたちが物欲しげな目でこちらを見て……いない。彼女らは彼女らでワイワイ楽しそうだ。ファン同士の交流とでも言いましょうか。

さて、どれを持って帰ろうか。問題はほとんど全員が中高生なことである。プライベートならいざ知らず、企画でちょっかいを出すわけにはいかない。

となると狙いは、すでに20才を越えているであろう、隅のほうに陣取った3人組グループとなる。彼女らをまとめて面倒みますか。

最初はバンドマンとファンにはっきり二分されていた酒席も、時間が経つにつれ男女入り乱れての合コン状態となっていった。

ところが、女性陣に対し露骨に迫っていく者は皆無で、次回ライブのチケットを売ったり、疲れのせいで寝転んだりと、ギラギラした素振りが見られない。やはり女なんてどうでもいいっす的精神状態なのか、連中は。もったいない。

それにしても、この場における私の浮きようといったらどうだろう。他の男は全員、肩までかかる長髪を茶色や金に染め、黒シャツにサングラスという出で立ちなのに対し、私は山登りに出かけるようなチェックシャツに頭髪は寝グセ状態でボウボウ。とても同じステージを踏んだ同士とは思えない。

ライブではなく打ち上げこそが本番だと認識していたにも関わらず、こいつはちょっとマズかったか。威厳を失うやも知れぬ。

続く・・

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