十六人谷

Fukurou

ある老人の屋敷に一人の美しい女性が尋ねてくる。

老人と女が会う場面で回想シーンに―――

ある山の中に、1本のそれはそれは立派な柳の木がありました。

とある理由から、その柳の木を切らなければならなくなり、

16人の木こり達が集められ、その木を切ることになりました。

木を切りはじめてしばらくしたある晩に、木こり達の前に一人の美しい女が現れ、

柳の木を切らないでほしいと強く訴えました。

しかし、女の言葉は聞き入れてもらえず……

結局、柳の木は切り倒されてしまいます。

場面は再び老人と女の会話に。

老人が何やらぶつぶつ言っているのを聞きつけて女中が老人のいる部屋を覗くが、

女中の目には老人の前にいる女の姿は映っておらず……

年寄りのことだからとその場を立ち去る女中。

老人の回想譚は続く―――

柳の木を切り倒した晩のこと……

山小屋の中で、疲れでぐっすり眠っている16人の木こり達。

深夜、若い木こりが妙な音で目を覚ます。

「くちゃくちゃ・・・くちゃくちゃ」

暗闇の中で、昼間の髪の長い女が木こりの一人と口づけをしている。

―――が、目を凝らしてよく見るとそうではなかった。

木こりは女に舌を食いちぎられていたのだった。

既に木こりに息はなく、血の滴る「ぴちゃぴちゃ」という音が鳴り響いている。

慌てて辺りを見回すと、自分以外の15人は、既に舌を食いちぎられ血を吐いて死んでいた。

若い木こりが再び女を見ると、女も若い木こりに気づいたのだろう。

食いちぎった舌を口に咥えたまま木こりを睨みつけ、恐ろしい速さで木こりに襲いかかってきた。

木こりは、とっさに斧を手にして、襲いかかってきた女の頭めがけて振り下ろした。

女の頭は2つに割れ、斧は首元まで食い込んだ。

女の絶叫が響く中、木こりは一目散に逃げ出した。

三度場面は老人と女の会話に戻るが…

突如響き渡る老人の絶叫。

女中が駆けつけると、そこには女の姿はなく、老人が口から血を流し死んでいた。

その口の中に舌はなかった―――

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