1992年、アメリカ=ロシア隊がK2の登頂を目指していた時、隊員が実際に聞いた謎

Fukurou

昔のアウトドア板にあったこの話が怖い

「何だろう?」

トール・キーザーが思わず声に出し、テントの中で体を起こした。

「あれは何だったんだ?」

キーザーを含む1992年アメリカ=ロシア隊がK2の登頂を目指して

BC(ベースキャンプ)に到着したのはわずか数日前のことだった。

まだ夜中で辺りは暗く、BCの空気はいつになく静かで、キャンプ地の外れの岩場

を滴り落ちるせせらぎの様な音が聞こえるくらいだった。

だが、キーザーの聞いた音は何か違っていた、全く違っていた。

人の声だった。無線機で呼びかける声だった。

「キャンプ4からベースキャンプ、聞こえますか、どうぞ?」

何だ一体、また聞こえたぞ。

アドレナリンが駆け巡って、キーザーはテントから飛び出した。靴下だけの

足に石が冷たかった。辺りを見ると、同じ隊のスコット・フィッシャーも

テントから出て、立ち上がって辺りを見回していた。二人は目を見交わした。

二人とも何を耳にしたのか理解していた。

「ありゃ、一体何だったんだ? 山の上にはまだ誰もいない、そうだよな?」

「いる訳がない、一人も。」

フィッシャーが囁くような声で返した。

それっきりもう二度と聞こえなかった。だが、その声は一生、キーザーの頭に

残ることになる。

「キャンプ4からベースキャンプ、聞こえますか、どうぞ?」

女性の声だった。イギリス人の声だった。キーザーは、その声を今でも耳に

甦らせることができる。

Jennifer Jordan著「K2 Savage Summit」第6章「黒い夏」の終焉より

「黒い夏」1986年夏にK2で起きた大量遭難事件。

この年27人のクライマーがK2に登頂したが、13人が遭難死した。

8月4日以降に7人のクライマーが第4キャンプで嵐が原因となって停滞を余儀なく

され、生きてBCへ降りられたのは2名だけだった。

その遭難者の中に第4キャンプで死亡したイギリス人女性が一人だけいた

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