義実家(コトメは自分の親と同居している)に
コトメ息子の婚約者が挨拶に来るからというので、
昼食会を開くことになり、私達夫婦も顔合わせにと呼ばれた。
コトメ息子の婚約者は、二十歳すぎたばかりの初々しいお嬢さんで
職場の同僚ということだった。
引きこもり→ニートを経験してから復学→就職したコトメ息子は、
社会に出るのが遅れたために、婚約者と同期入社だが10歳年上。
紆余曲折あったコトメ息子が社会に出て仕事ができて、
しかも若いお嫁さんが来るというだけで御の字だとみんな嬉しく思ってた。
しかし姑になるコトメだけは、可愛いムスコチャンが女に取られると悔しかったらしい。
エプロン持参で台所にお手伝いに来たコトメ息子婚約者を
ことあるごとにいびっていた。
キュウリの切り方が気にくわない程度のことで、
「貴女のお母様は一体なにを教えてきたのかしら?」と
台所の隅で文句を言い、コトメ息子婚約者は泣きそうになっていた。
手伝いにと台所に行った私は、コトメの罵詈雑言を見かねて、
とうとう口を出した。
私は自分が嫁に来た20年前、義実家でトメコトメに罵倒され、
頑張っても認められず、誰も庇ってくれなかったのを思いだした。
コトメ息子嫁の様子が他人事には思えなかったのだ。
「あーーーーーら、お義姉さん。なに言ってらっしゃるの???
生まれて20年経つか経たないかのお嫁さんが、
主婦歴40年近いお義姉さんに追いつくわけないじゃない。
もしお嫁さんの方が上手にできるとするのなら、
貴女の40年ってただ時間を無駄に過ごしただけってことになりますよ」
と、笑いながら大声で居間に向かって叫んで、客の注意を台所に向けてやった。